Lesson#222;こんなこと無意味だ。永久に何も生み出さない。

彼女はカウンターにあごを乗せてカクテルグラスの中、マティーニに浸っている串刺しのオリーブをぼんやり見ている。
 彼女は、もしかしたらこのオリーブの実は男性の象徴なのかしら?そうだとしたら、串刺しにされているのも、それを齧るのも、エロティックを通り越してグロテスクですらあるわね。と思いながら、串刺しのオリーブでグルグルとマティーニをかき混ぜる。
ここのグラスはちょっと凝っている。髪をブルーに染めた若いバーテン(昔見た映画に出てくる、HIVキャリアの俳優に、というかその役のキャラクターに惹かれて染めたらしい。でも職業柄、その俳優と同じようにはっきりとしたブルーには出来なかったらしく、黒なのか藍なのかわからないくらいの濃い青に染めているらしい。“らしい”って言うのは場所が場所なので、私は彼を薄暗い照明の中でしか見ることが出来なくて実感としてわからないって言うのと、このバーテンが時々意味も無い嘘を冗談をつくからだ。過去に私は2、3ヶ月騙されっ放しだったということが二、三度あった。ので以下の話も、もしかしたらそういった嘘かもしれない)から聴いた話だと、何でもオーナーの知り合いのアーティストの人がデザインしたらしい。
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え〜、先日書いた麻美ゆま氏の立て看板の上に葬儀やお通夜のときに街中に張ってある道案内があって、うわ〜、面白いとかではなく、この葬儀社の方はどれだけ急いでいたのか?あそこがいつも案内板を張る定位置だったのか?定位置だったらどんな状況でもそこに案内を張るのか?それともこれを設置した人は麻美ゆま氏を知らなかったのだろうか?いくら有名女優とは言えども、セックステープ専門であれば、一般的な認知度は低い。とすればセックステープを日々消費する人々は一般的ではないとカテゴライズされてしまう。と言うことは、そういった陣営はアニメ画像などに心酔する一派に対し優勢ではない、どころかアニメのキャラクターのほうが世の中に名前が通っている分、こっちのほうがメイニアックなのではないか?云々…
やはりいろんな意味で生(性)と死は隣りあわせなんでしょうね。
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アンティークのピアノを前にして、ピアニストはいかにも弾きよどんでいる、と言った感じで無調的な拍子もはっきりとしないダラダラとした即興演奏を続けている。バンドメンバーは引っ込んだまま、最初のテーマが提示されてから登場するという打ち合わせの通り、一曲目が始まるまで待っている。しかしかれこれ15分、その予兆は感じられない。ベーシストもドラマーも、二杯目のビールをウェイトレスに注文した。二人ともいつものことだ、またか、と少しばかりうんざりである。でもたいていの客は彼らの演奏を気にとめてはいないので大した問題ではない。むしろこういった演奏のほうがちょうど良いのかもしれないな、とも思われるのである。
でも今日はサックスのT田さんが来ている。いくら旧知とは言えそろそろ。