Lesson#218;○○子ちゃんに中出し!!

 クーポンやなんだかんだと元ある値段が恒常的に下げられている。本当の価値とはなんだったのか?ということは価格の設定の形骸化を示しており、価値の決定に関する保留や投げ出しが蔓延している状況であり、結局みんながぽかーんとしてしまっているのだろう。
 さてローソンのからあげくんは200円、マクドナルドのマックチキンナゲットはクーポン使用で150円、ロッテリアのディップナゲットはこれまたクーポン使用で200円。これらを同列とみなすのがいいのか悪いのか?いろいろ議論するにはもっと競合対象をあげる必要がありそうだけれど、TNC会館パヴェリアにおいてローソンとマクドナルドが対面にあるという事実からローソンのからあげくんとマクドナルドのマックチキンナゲットの模擬戦を繰り広げさせてみるのは一興ではないでしょうか?(僕の現実逃避という目的のため)。
♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡
 彼は頭痛が取れなかった。先週の中ごろから。強烈なストレスのせいであるのはわかっていた。このとき彼が取り付かれていた妄執は、その頭痛が徐々に右側の後頭部、特に頭部の首への接合する範囲に近い下部から耳の付け根にかけてであったことから、右に頂角に異常をきたすことであった。具体的に言えば難聴乃至聴覚の完璧な喪失であった。
 彼には人生を通じてもち続けたパラノイアがあった。それは予期したものが現実になると言うものである。しかし実現されるものは彼にとって不利益なものに限られる。誰も自身の不幸を望むことはない。しかし彼は事後的な反省、もしくは「もしこうだったら・・・」という妄想を通し、彼にとっては不幸なあるイベント以前に自身がそれを予見可能であって、かつそれを強烈に恐れ、それゆえに―自身にその実現が可能かどうか?と言うのは些少な事実である―その事態を招いた、と考えていた。
 しかし、前述の頭痛及び失聴に脅えながらも彼はその夜もステージに立った。Saxophone ténorを首から下げ、背後からブルーのライトを浴び、シルエットのみしか観客は確認できない。バックバンドがイントロを演奏し始める。違う、違う、この曲ではない。キーはなんだ?いつ、どの音から入ればいい?拍子はなんだ?わからない。まったくもってわからない。しかし彼の両の手は自然と、リードとマウスピースを口唇の適正な位置へ移動させ、完璧なアンブッシャアにて、ノンビブラートの柔らかなロングトーン(E♭)で空間を満たした。
 陶酔する客の顔に、彼は中学校時代の女性教師の面影を見た。
 ステージはつつがなく終了する。
♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥
 欲求が思考するところがある出来事であるのか?それともある状態であるのか?を区別するのは難しい。達成とはあるコンディションなのか?あるイベントなのか?どちらも、もう一方と取って代わることが可能であるようにも見え、置換不可能であるようにも思われる。