Lesson#30;デート中、歩く速度は彼女に合わせて。

今日はある女性と散歩をしました。雨の中。文系キャンパスの中門付近の駐輪場で雨宿りする彼女と偶然出会って。僕しか傘を持っていなかったので、彼女の歩調に合わせようと気をつけていないと、傘を手にする僕がガシガシ歩くから、彼女が濡れてしまうんです。彼女は本当に歩くのが遅かったです。体がちっちゃいし、所々で雨宿りしながらだったので。最後は階段(もちろん屋根の有るところ)に座り込んでしまって動かなくなっちゃったから、おいていってしまいました。
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こんな文章で“彼女”が実は猫だ、って言うのを何人が予測できるんでしょうか。意図的に『人間だ』と思わせる文章なのでわかる人が居ないくらいが僕の本望、でございますが。(百人に二人くらいはいそうだ・笑)でも意外に猫と歩を同じくする、と言うのが新鮮な体験でした。駐輪場の隣にある学内案内図を見ながら文系の生協書籍部って何処にあんだろ?なんて思ってると『ミャー』と彼女(と思いますよ)の声が聞こえ、“えぇ〜!猫なんてどこにいるんだよ?”と見渡せばオフロードバイクのシートの上にうずくまってました。人懐っこい猫で、そのシートから降りて僕の足に擦り寄って来ました。最初は何も考えずに無視ってそこら辺をうろちょろして書籍部を探していたのですが一向に見つからず、あきらめて理系の方に行こうとすると道を横切らんとする彼女、が眼にとまりました。なんだか気になるので近寄ってみると、向こうも僕に気が着いたらしく僕に近づき首の辺りを僕の足に擦り付けてくる。この後、着かず離れずでゆっくりゆっくりと進んでいって数百メートル行った所で彼女が座り込んでしまったので、置いて行ったのですが。五分後、彼女がいたところを見るともういませんでした。路肩に止まる自動車の下に一々辺りをうかがっているんですよ彼女。『何もねぇから安心しろよ』と此方が幾ら言っても、じぃーっと見回す。でもいかにも清楚な格好で歩いている女子大生が、実はその子が実は新興宗教の信者だったりして『この悪魔の手先の穢れた生き物め!!』つって傘で猫に襲い掛かるなんてことも無きにしも有らず(いや、絶対無い・笑)なんで、注意するにこしたことは無いのでしょう。しかも僕にとっては数百メートルですが、彼女にとっては結構な距離だったのではないかと思います。
今日は他者と何かを共有する喜びを味わうことが出来て大変有意義でした。その相手が猫だ、なんていうことが奇異に見えるかもしれませんが、なんとなく僕には色々とプラスな感情が残されています。それは相手のことを僕が本当に思っていたからでしょう。最近はそんな体験が、人の間でも希薄、な世界に生きているので、こんな風に猫に教えられている次第です。
あぁ、でも『彼女と同じ猫になれたら』なんて思った僕はやっぱり変人ですね。
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で、その僕の思想のドグマは↓

ジェニィ (新潮文庫)

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