単騎走千里

単騎、千里を走る。』見てきましたよー、試写。協賛が焼酎の会社だったので、お土産にワンカップの焼酎をいただきましたでござるよ。司会のKBCの女性アナウンサーが『お酒ですので20歳以上の方にしか差し上げられませんの。ごめんあそばせ、オホホ』なんて言っておりました (嘘ですよ・笑。そんな『パンがないならお菓子を食べればいいのに』って感じのマリーアントワネットな喋り方では全然なくてですね、フツーの丁寧な口調でした) ので、『わー、今日俺の格好、中学生みたいだよ。今朝髭も剃っちゃったからツルツルでますます年齢低く見えるし。貰えんのかなぁ?別にいらないけど。』とか思ってたら、意外にすんなり貰えました。

それはいいとしてですね、やはり高倉健さん主演、と言うこともあってか会場のお客さんの年齢層が高い高い。俺が最年少なんじゃねぇの、と思っていたら帰り際、女子高生がそのお母様らしき人とロビーにいたのでそんなことはなかったのですがね。実際僕の隣に座っていらっしゃた方は若く(別に『若けりゃ良い』って言いたいわけじゃないんですよ。熟年の婦人の方々、にも存分に魅力はございますから)素敵なお嬢様でまたしても、僕は恋に落ちてしまいましたし(なにせ“三分に一度恋をする男”ですからね、僕・笑)。前に行った“In Her Shoes”は妙齢の婦人の方々ばかりで、こちらも明らかに映画がターゲットとする集団から外れたところにいる僕がなぜこうも当っちゃうのでしょうか。ちゃんと応募時には『男性・20歳』って記入しているんですけどねぇ。

ここからは本題(やっぱり僕、前置き長いですね・笑。この前もサークルの後輩に『先輩引っ張るだけ引っ張っていつもつまらないじゃないですか』とひどく痛いところを突かれました)。映画についてですが、一発目から僕には大爆笑でした。例によっちゃ例のごとくなのですが、周りの方々はすごく真面目に鑑賞されていましたが。だってね、『健さんの語り(ナレーション・内面描写)』から入るんですよ。もうホント、彼のアイデンティティである“寡黙な演技”の対極をぶち当ててきたわけですよ〜。文革後、はじめて中国で上映された映画に健さんが出演していたことから彼の中国における人気はすごいらしいのですが、彼の演技を中国の人々はどう受け止めているのでしょうか。僕が健さん主演で映画を撮れ、って言われて彼に“語り”をやらせるなんて絶対出来ません、恐れ多くて。この語り、中国では当然吹き替えか字幕になるからそんなに違和感ないかもしれないけど、“健さん健さんにしか見えない病”に100人中87人はかかっているであろう日本人の僕達にとっては大変な違和、を突きつけてきます。“斬新過ぎる表現”というのは最初、僕のような凡人には受け入れがたいものであるのが常ではありますが、チャン・イーモウ様、これは僕ら日本人にはちょっときつ過ぎますよ、良い悪いもしくは優劣はべつにして。いつになく雄弁な高倉健、すごいよこれ。

あんまり言うとネタばれなので言わない方が良いと思われますが、“高倉健が演技し、彼が日本語で随所に語りを入れている”と言う時間が大半を占めようとも、中国映画であることを忘れないで見ることが出来れば、大感動作です(←“中国映画が日本のそれより劣る=だから仕方ないじゃん”という侮蔑的な表現ではなくてですね、“お国柄”とか“空気感”と言ったものです)。

ですのでTSUTAYAの店員の皆様、この作品がビデオ化された際には、ぜひ中国映画のラックに並べて置いてくださいますよう、心からお願い申し上げます。