ラブレター 〜 神頼み

君が彼のものになってしまうかもしれない。
これだけお膳立てしといてこう言うのもなんだけど。
それは見たくない。
そうなって欲しくない、と願っている。
彼の『恋』に負けないだけの、『愛』を僕は持っています。
でもそれを口には出来ない。



やっぱり、“あの娘”のことが気がかりだから。
そして僕らの関係は“あの娘”を抜きにしては語られない。
一時期、僕らは“あの娘”のことばかり話題にしていた。
“あの娘”の幸せが、さも自分達の幸せであるかのように。
決して僕も君も、“あの娘”よりも大人だったわけじゃない。
途中で知ることになったけど、“あの娘”と同じくらい君も辛い不安を抱えていましたね。
どうにかしてあげたかったけど、こんな僕にはどうすることも出来なかった。
“あの娘”の抱える苦しみもそうだった。
君達の“憂鬱”を治癒する術を僕は持ち合わせてはいなかった。



でも、それでよかった。
少なくとも二人の苦しみを知ることは出来た。
一人よりも二人(もしくは三人)で持ったほうが、荷物も軽い。
ずっと背負い続けなくてはいけないとしても。
いつかはその重みにも慣れ、そんな迷惑な荷物とも上手くやっていけるかもしれない。
時には僕にその全荷重を背負わせたって良い。
僕ならいつだって、手は空いている。



そして、僕は自分の小ささを知った。
まだまだやるべきことは残っていた。



最悪、僕は幸せでなくても良い。
僕は幸せにも、その反対の不幸に対しても不感症なのだから。
彼女達二人にはどうか幸せを、神様。
それによって“憂鬱”を忘れさせてあげてください。



いつもお願いばかりですいません。