Lesson#241;コールドターキーの結合双生児。

Hip-Hopの換骨脱胎がここでは行われている。と言って良いだろうか。
全体がビートとフロウの集積であることが確かなこの音楽ジャンルにおいては、それが一種のカリカチュアとしてこうした形のHip-Hopも抽出からの再構築が可能となる。明確な律動感覚が感知でき、流麗な語り口をもって何かを語りかけられる。
音楽的に編集されたラップの聞き取れない言語としての可能性は、それがサウンドに回収されることによって非常に大きいと思われるが、質は演劇などの分野で召喚される方法と大きく異なる。それは、後者は聞き取れないことを表現として思惟しているからであり、前者は結果に過ぎない。そういった意味では言語についてはやはり、音楽などより演劇のほうが先んじていると言えるだろう。
形式や構造と言うものはそのままに、中身の一切合財を入れ替えてしまう。結果できあがったものが奇怪な怪物で、頭から食い殺すかまた母胎に押し込めてしまうかしてしまうようなものであっても、父権教示型の世界ではない個人の消費の範囲内―マスメディアは父性隆盛型でありこういったものを許せない、と思われます―では、受け入れられると思います。
ただ、トラック11『Don’t Mock the Quock』における、プリペアド・ピアノの音色がなんだか内橋和久さんのギターのようでびっくりしました。

I'm Ok You're Ok

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